不眠
不眠は病気です。きちんと治療することが大切。
眠れなくて悩んでいる人はどれくらいいるのでしょう。厚生省の調べでは、現代人の5人に1人が、睡眠に関する悩みを抱えていることがわかっています。不眠というとお年寄りに多いと思われがちですが、現代社会ではストレスや24時間型の生活習慣が増えていることから、不眠に悩む若い人が増加する傾向にあります。
不眠は、ただ眠れないだけではなく、体の状態に悪い影響を及ぼしたり、昼間の眠気のために仕事に支障がでたり、事故などを引き起こす恐れもあります。
人生の約1/3を占めている睡眠。不眠を「たかが眠れないだけ」と軽く考えずに、正しい知識を身につけ、きちんと治療することが大切です。
さまざまな疾患が不眠の原因となり、
不眠も疾患に影響を与えています。
痛みやかゆみ、息苦しさのために眠れないといった経験はありませんか?そのような症状を引き起こす身体の疾患は不眠の原因となります。
不眠と関係の深い疾患には、胃潰瘍、ぜんそく、アトピー性皮膚炎などがあります。
また、不眠は、血圧の上昇を促したり、体の抵抗力を低下させるため、高血圧や免疫の疾患を持つ患者さんなどには、睡眠不足は大敵です。
このように、さまざまな疾患が不眠を引き起こし、また、不眠がこれらの疾患を悪化させることもあります。
こんな疾患が不眠を引き起こします。
心の病気 | うつ病・うつ状態、神経症など。 |
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皮膚の病気 | アトピー性皮膚炎、じんましんなど、強いかゆみを起こす病気など。 |
脳梗塞・脳出血 | 脳が障害を受けると、後遺症として不眠が現れることもある。 |
呼吸器の病気 | ぜんそく、気管支炎などによる息苦しさ、夜間の咳など。 |
消化器の病気 | 胃炎や胃潰瘍などによる痛みや不快感。 |
けがなどの痛み | 骨折などの大きなけがや、手術後の痛みは一時的に眠りを妨げる。 |
関節の痛み | 慢性的な腰痛や膝の痛み、リウマチなどの関節炎など。 |
不眠の症状
不眠には入眠障害・熟眠障害・中途覚醒・早朝覚醒などがあります。
ひとくちに不眠といっても、症状によっていろいろなタイプがあります。
入眠障害
布団に入ってもなかなか寝つけないタイプ。不眠のなかではもっとも訴えの多い症状です。
中途覚醒
いったん寝ついても、途中で何度も目がさめてしまいなかなか寝つけないタイプ。
熟眠障害
十分な時間寝ているのに、眠った気がしないと感じるタイプ。
早朝覚醒
起きようと思っていた時間より早く目がさめてしまい眠れなくなってしまうタイプ。高齢者に多いのが特徴です。
不眠の診断方法には、問診、家族からの聞き取り、
睡眠ポリグラフイなどがあります。
不眠の診断では、治療の必要性や不眠の原因を確かめるために、まず問診が行われます。自分の状態について、要領よくきちんとまとめて答えましょう。
また、毎日の睡眠の状態を記録する睡眠日誌をつけることも、診断のみならず、治療にも大変役立ちます。自分では眠れていないと思っても、人から見るとよく眠っていたということもありますので、家族の方のお話を聞くことも大切です。
そのほか、睡眠ポリグラフイという機械を使うこともあります。睡眠中の脳波や筋肉、眼球の運動を記録するもので、この検査を行えば睡眠のあらゆる情報が得られます。ただし、検査には特別の技術や時間が必要となるため、不眠を専門に診察している施設に限られています。
受診が必要な場合は、かかりつけの医師に紹介していただきましょう。
あなたの不眠についてまとめておきましょう。
- いつ頃から眠れませんか?
- 毎日何時ころ布団に入りますか?
- 夜中に目がさめますか?(何回)
- 朝は何時ころに目がさめますか?
- 起きたときの気分はいかがですか?
- いままでにかかった病気はありますか?
- 不眠以外の症状はありますか?
- 現在服用している薬はありますか?
不眠を改善するには、まず原因を取り除くことが大切です。
不眠を改善するには、不眠の原因を明らかにし、それを取り除くことが第一歩です。痛みやかゆみのために眠れない、悩み事があって眠れない、服用している薬の副作用で眠れない、などがこれにあたります。
睡眠環境を整えたり、生活習慣を改めることも良い睡眠のためには大切なことです。次のようなことに注意してみましょう。
原因を取り除いたり、睡眠環境を整えたりしても不眠が改善しない場合、睡眠薬が処方されることがあります。
睡眠のための工夫
□環境を整える
- 寝室は静かで真っ暗が基本
- 温度、湿度を快適に
- 寝具にもこだわって
□生活習慣を改める
- 昼間に適度な運動を
- 毎日同じ時間に布団に入る
- 寝る前のコーヒー、紅茶を控える
- 満腹も、空腹もだめ
- 入浴はぬるめのお湯にゆったりと
睡眠薬は、指示どおりにきちんと飲めば
決して怖い薬ではありません。
睡眠薬といえば、やめられなくなる、大量に飲むと死んでしまう、などという怖いイメージを抱いている人が多いのではないでしょうか。確かに以前はそのようなこともありましたが、最近の睡眠薬ではそのような心配はほとんどありません。
とはいうものの、やはり服用にあたっては注意しなければならない点がいくつかありますので、医師・薬剤師の注意をよく聞き、指示どおりに服用しましょう。
また、わからないこと、不安なことや、服用中に変わったことがあれば(次の日に眠気が残る、ふらつく、など)、勝手に服用をやめたりしないで、医師・薬剤師に相談しましょう。
※「寝酒」の効用は?
眠れないときにお酒を飲む人は多いようです。
しかしアルコールによる眠りは浅いため、熟睡感が得られませんし、飲み続けているとそれなしでは眠れなくなったり、量が増えていく危険性もあります。
眠れないときにはお酒に頼るのではなく、適切な治療をうけることが大切です。
睡眠薬を服用する時はこんな事に気をつけましょう。
- 就寝前に服用する
- アルコール類と一緒に服用しない
- 自分の勝手な判断で、量を加減したり、中止したりしない
- 自分の薬を人にあげたり、もらったりしない。